【NSCLC】ペメトレキセドの維持療法は連続してするべきか、それとも観察期間を設けた後が良いのか
Randomized Phase III Trial Comparing Switch-Maintenance Pemetrexed With Observation Followed by Pemetrexed at Progression in Advanced NSCLC
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32543258/
【目的】
2つの第III相試験では、プラチナ併用化学療法後にペメトレキセドを維持投与すると、進行非扁平非小細胞肺がん(NSCLC)の全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が延長することが示されている。
しかし、これらの試験では対照群では進行時にペメトレキセドを投与された患者はほとんどおらず、パフォーマンスステータス(PS)は2名が不適格であり、参加者の中には高齢者がほとんどいなかった。
本研究では、白金倍加化学療法後の進行時のペメトレキセドと即時切り替え維持療法を比較検討した。
【方法】
IIIB/IV期の非扁平NSCLC、18歳以上、PS 0-2、カルボプラチン/ビノレルビンの4コース投与後に無増悪の患者を対象に、ペメトレキセドの即時維持療法を受けるか、観察後に増悪時にペメトレキセドを投与するかを無作為に選択した。
主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、毒性、健康関連QOL(HRQoL)とした。
【結果】
は2014年5月から2017年9月までの間に105例が無作為化された。
年齢中央値は67歳、36%が70歳以上、9%がPS2、91%がステージIV、47%が女性であった。
観察群では、73%が進行時にペメトレキセドを投与された。
維持群の患者では、全生存期間が数値的に長く(中央値12.0 vs. 10.0ヵ月;p = 0.10)、統計学的に有意に長いPFS(中央値3.1 vs. 1.9ヵ月;p < 0.01)であった。
ベースラインの特徴を調整した多変量解析では、OSの改善(HR 0.65、95%CI 0.42-1.01;p = 0.05)とPFSの有意な改善(HR 0.53、95%CI 0.35-0.80;p < 0.01)の傾向がみられた。毒性やHRQoLに有意差は認められなかった。
【結論】
対照群の73%の患者が進行時にペメトレキセドを投与された場合、スイッチ維持型ペメトレキセド療法によるOSの延長とPFSの有意な延長の傾向がみられた。
▶︎今では標準療法となっているpemetrexedのメンテナンス療法ですが、根拠となったparamount試験においてはプラセボ群の後治療にpemetrexedは3%程度しかはいっていませんでした。
▶︎なので、もしparamount試験において後治療(特に観察期間後=プラセボ投与後)にpemetrexedが入っていたら結果が変わっていたかもしれません。
▶︎本論文はそのような仮説のもと行われた試験だと思います。
▶︎結果としては間を空けずに、すぐにpemetrexedを投与した方がOSもPFSも有意に改善するといったもので、これまでの標準治療を覆すことはありませんでした。
▶︎やはり、観察期間をあけてしますと、そもそもpemetrexedを受ける機会が減ってしまうからなのでしょか。(観察群では23%の患者群でpemetrexedは入っていない)
▶︎現在標準治療のKEYNOTE189レジメンもメンテナンスでpemetrexed+pembが入っていますが、比較的忍容性が高い薬剤を受けるチャンスを逃さないことが重要だと改めて感じました。
【NCSLC】PD-L1≧1%に対する1st lineでのNIVO+IPI vs Chemo(CheckMate227)
Nivolumab Plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancerta
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31562796/
背景:進行非小細胞肺癌(NSCLC)の患者を対象とした前臨床研究では、特にPD -L1において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法の方が、ニボルマブ単剤療法よりも奏効率が高い。
NSCLC患者におけるニボルマブとイピリムマブの長期的な利益を価するにはデータが必要となる。
方法:オープンラベル、Ⅳ期、PHⅢ、1st lineの試験。
NIVO+IPI vs NIVO vs Chemo(1:1:1)
PD-L1≧1%が対象(パート1bはPD-L1<1%)
主要エンドポイントは、PD-L1発現レベルが1%以上の患者における化学療法と比較した、ニボルマブとイピリムマブの全生存率。
結果:PD-L1発現レベルが1%以上の患者では、全生存期間の中央値はニボルマブとイピリムマブの併用で17.1か月vs14.9か月(P = 0.007)、2年全生存率はそれぞれ40.0%と32.8%。奏効期間の中央値は、23.2か月 vs6.2か月でした。
PD-L1発現レベルが1%未満の患者では全生存期間の利益も観察され、期間の中央値は17.2か月(95%CI、12.8〜22.0)でニボルマブとイピリムマブを併用した場合と12.2か月(95%CI、 9.2から14.3)化学療法。
試験に参加したすべての患者の全生存期間の中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用で17.1か月(95%CI、15.2〜19.9)、化学療法で13.9か月(95%CI、12.2〜15.1)でした。
全集団におけるグレード3または4の治療関連の有害事象を有する患者の割合は、ニボルマブとイピリムマブの併用で32.8%、化学療法で36.0%でした。
結論:ニボルマブとイピリムマブを併用した一次治療では、PD-L1の発現レベルとは無関係に、NSCLC患者の化学療法よりも全生存期間が長くなりました。より長いフォローアップで新たな安全性の懸念は生じませんでした。
▶︎けっこう複雑な試験だなと思いました。そもそもNIVOはPD-L1≧5%を対象とした試験(CheckMate024)でChemoに対して勝つことができなかったのに、なぜ今回はPD-L1≧1%を対象としたのかがよく分かりません。しかもIPI併用も混ぜている。
▶︎まずはNIVO単剤でChemoに勝ってから、次にNIVO+IPI vs NIVOという風に手順を踏む方が明確になると思いましたが、それだと時間が掛かるからやらないのでしょうか。
▶︎結果として有意差を持ってOSを延長していますが、これがIPI併用によるものなのか、患者背景の違いによるものなのか不明確な気がします。(EMAは承認せず)
▶︎CheckMate9LAもNIVO+IPI+Chemoの合わせ技で来ているので、併用根拠があまり明確でない分、それを覆すような結果に期待したいです。