おんころぐ

主に5大癌(胃大肺乳肝)に関する論文などを備忘録として。

【NCSLC】PD-L1≧1%に対する1st lineでのNIVO+IPI vs Chemo(CheckMate227)

Nivolumab Plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancerta

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31562796/

 

背景:進行非小細胞肺癌(NSCLC)の患者を対象とした前臨床研究では、特にPD -L1において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法の方が、ニボルマブ単剤療法よりも奏効率が高い。
NSCLC患者におけるニボルマブとイピリムマブの長期的な利益を価するにはデータが必要となる。

方法:オープンラベル、Ⅳ期、PHⅢ、1st lineの試験。
NIVO+IPI vs NIVO vs Chemo(1:1:1)
PD-L1≧1%が対象(パート1bはPD-L1<1%)

主要エンドポイントは、PD-L1発現レベルが1%以上の患者における化学療法と比較した、ニボルマブとイピリムマブの全生存率。

結果:PD-L1発現レベルが1%以上の患者では、全生存期間の中央値はニボルマブとイピリムマブの併用で17.1か月vs14.9か月(P = 0.007)、2年全生存率はそれぞれ40.0%と32.8%。奏効期間の中央値は、23​​.2か月 vs6.2か月でした。

PD-L1発現レベルが1%未満の患者では全生存期間の利益も観察され、期間の中央値は17.2か月(95%CI、12.8〜22.0)でニボルマブとイピリムマブを併用した場合と12.2か月(95%CI、 9.2から14.3)化学療法。

試験に参加したすべての患者の全生存期間の中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用で17.1か月(95%CI、15.2〜19.9)、化学療法で13.9か月(95%CI、12.2〜15.1)でした。

全集団におけるグレード3または4の治療関連の有害事象を有する患者の割合は、ニボルマブとイピリムマブの併用で32.8%、化学療法で36.0%でした。

結論:ニボルマブとイピリムマブを併用した一次治療では、PD-L1の発現レベルとは無関係に、NSCLC患者の化学療法よりも全生存期間が長くなりました。より長いフォローアップで新たな安全性の懸念は生じませんでした。

 

▶︎けっこう複雑な試験だなと思いました。そもそもNIVOはPD-L1≧5%を対象とした試験(CheckMate024)でChemoに対して勝つことができなかったのに、なぜ今回はPD-L1≧1%を対象としたのかがよく分かりません。しかもIPI併用も混ぜている。

▶︎まずはNIVO単剤でChemoに勝ってから、次にNIVO+IPI vs NIVOという風に手順を踏む方が明確になると思いましたが、それだと時間が掛かるからやらないのでしょうか。

▶︎結果として有意差を持ってOSを延長していますが、これがIPI併用によるものなのか、患者背景の違いによるものなのか不明確な気がします。(EMAは承認せず)

▶︎CheckMate9LAもNIVO+IPI+Chemoの合わせ技で来ているので、併用根拠があまり明確でない分、それを覆すような結果に期待したいです。